レジェンドストーリー 
故郷新潟編

営業に行ったお宅は、長い間読売新聞一筋で、どんなにお願いしてもダメ!でも、ふるさと新潟のコシヒカリのように粘った結果、…

~ Story ~

その日は、初のパッケージセールスで、多少緊張しながら営業を開始しました。私は6件の試読のお客様を担当することになったのですが、1件目のお客様とは話しに話し、粘りに粘り、1時間以上かかったのに結局お申込み頂けず、がっかり。2件目のお客様は頑としてドアを開けてくれず終了。3件目のお客様はなんと外人さん。新聞は読まない、試読の新聞も封を開けていないとのこと。追い込まれてきた私は段々と焦ってきました。
しかし4件目のお客様は、人柄の良さそうなご婦人で、試読の感想としては昔よりは少し読みやすくなっていたとのこと。よし、この方にお客様になって頂こう!

様々な話をしました。パッケージセールスの意義や経緯、朝日新聞の良さ、自分が今日の部隊のリーダーであり責任があること。そしてお客様のご家族の話を聞いたり、自分の家族の話をしてみたり…。しかし、「申し訳ないが朝日は絶対に取れないのよ」とおっしゃいます。
何故なのかお伺いすると、そのお宅は工務店で、読売新聞の所長さんと懇意にしており、お互いに商売の厳しさをよくわかっているため、日頃から洗剤なども受け取らず、ずっと付き合っているとのこと。
いくらお願いしても、優しく申し訳なさそうに、「わかってくださいね」と諭される。

もう1時間近く経っていました。いくらお願いしても押し問答になってしまう始末。
「読売さんは決して辞められないのですね。朝日にするわけにいかないのですね。……、わかりました、じゃあ一緒に取ってください! お願いします!」
私は無理を言い出しました。お客様は目を丸くし、「いえいえ、2紙は要らないわよ!!」
「そりゃそうですよね、でも今回ばかりは奥様の優しさに甘えさせて下さい! ご縁を下さい!お願いします!」
「それは無理ってものよ!」
とまた押し問答。さすがにお客様も呆れ返っているよう。既に半分断られ、諦めるわけにいかない私でしたが、さすがにご迷惑なご様子。

(…ここは引くべきか?)
「………、今日は申し訳ございませんでした。地元が新潟なんで、コシヒカリのようについよく粘ってしまいました」
などと言ってみた瞬間、
「あら、あなた、上手いこと言うわね。実は私も新潟なのよ!」
(えっ?! よっしゃー!!!!)
「いや、だからといって取らないわよ」
(ガーン!!!)
「ちなみに奥様は新潟のどこですか? 僕は新潟市なんですけど…」
「あら、私もよ!」
「えっ? 僕は新潟市の西側、海沿いの…」
………なんと、奥様のご実家と私の実家は歩いて10分くらいのところだったのです!
そこからひとしきり、地元の近所の話で盛り上がりました。こんな遠い東京で、ここでこうして1時間も押し問答しているなんて、ご縁は不思議なものですね。新潟の方はたまにいらっしゃいますが、あまりにも近すぎて、嬉しくなってしまいました。
「そうねぇ。これは取るしかないわよね」
「ありがとうございます!!!!」

「この20年、誰がなんといっても、何人来ても断ってきたのよ。一度も取ったことはなかったし、今回も絶対に断るつもりだったけど、あの町の子が来るとは思わなかったわ。仕方ないわね。その代わり、本当に読売さんは辞められないから、3ヶ月だけで勘弁してね!」
「ありがとうございます!!!」
「そんなに大汗かいて、熱心ね。新潟の人は我慢強いけど、暑さに弱いから体に気を付けるのよ」
「ありがとうございます。奥様も気を付けてくださいね」

遠く離れた故郷を思い出す、貴重な貴重なご縁を結ぶご契約でした。